2011年4月22日金曜日

レディ・ジョーカー

『レディ・ジョーカー』という小説を読み終えました。

この作品を知ったきっかけは
たぶん攻殻機動隊S.A.Cシリーズです。

攻殻の脚本を担当した方が
シリーズを考える際にこの作品を参考にした
とDVDのおまけ映像の中でおっしゃっていたような。
かすかな記憶ですが。
(攻殻を観ていた日の手帳の端っこに「レディ・ジョーカー」と書いてあるのでおそらく)

この作品は実際にあった
グリコ森永事件
という事件をモチーフにしています。

95年にグリコ森永事件のような企業テロが起こり
それに関わる人々を描いた作品です。

私は80年代終盤の生まれなので
実際のグリコ森永事件に接触していませんので分かりませんが
実際にあった事件をモチーフにしただけあって
とてもリアリティがあったように感じます。

大企業の中でのやりとり
警察内部の思惑
政治家や政治団体、暴力団のつながり
政官財の関係
などなど
これ現実じゃないの?
と思ってしまうほど綿密に描かれた作品で
とてもとても楽しめました。

登場人物も多数出てくるのですが
誰の思惑通りにならないといいますか
それぞれが参加し形成しているにも関わらず
誰にもコントロールできない
世の中の「システム」の怖さ
みたいなものを感じました。


攻殻が参考にしたというのはおそらくですが
企業テロとその模倣犯
それをコントロールし儲かる人々
などの設定でしょうかきっと。

攻殻の笑い男には
事件を起こす青臭い動機が存在しましたが
レディ・ジョーカーの犯人たちには
きっかけ(引き金)があるにはあるのですが
決定的な動機が存在しません。
僕はそこがリアルでとてもおもしろいと感じました。

世の中なにか大きな事件、残酷な事件が起こると
どうしても
「犯人はどうしてこんなことをしたんだろう」
と思ってしまいます。
しかしその中に本当に論理として説明できる
明確な動機があるものは一体どれほどなんでしょう。
きっとこういう風に
きっかけはあるが動機はない
みたいなことってけっこうあるのではないかなと思いました。
自分の過去の行動なども含めて。

世の中で起きてる色々なことが関係して
お互いに影響しあって
色んなものが積み重なって
それがピークに達して起こる
みたいな

それを端的に表すと
「なんとなく」
になってしまうのかも。

とても読み応えがあって面白い小説でした。

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